2010.4.2 FRI
とんちピクルス「ウクレレ春だより」
「ウクレレと青春18切符を握りながら全国縦断ツアー中」と聞いたら、人はどう思うのだろう。そのフレーズに「生き様」ってヤツを感じ、カッコイイと思う私は少数派なんだろうか?
今回初めてBUDDYに出演して頂いたとんちピクルス氏は、福岡を拠点に活動しているウクレレ弾き語りのソロユニット。・・・と一言で説明するのがはばかられる、不思議な魅力の持ち主。ウクレレ片手に繰り広げられる世界は、人生のわび、さびを謡ったかと思えば、昭和の匂いを醸すエロチック歌謡が放たれ、はたまた披露宴に招かれた者が抱く、ブラックでシニカルな思いをラップに乗せて笑いの琴線に触れてきたりと、こちらの想像を心地よく裏切って行く。朴訥とした風体に油断していると、とんちワールドのうねりへ巻き込まれ、気付いた頃にはカラダのどこかに「とんちの小部屋」が出来ているとでも言おうか。
そんな彼のBUDDY初ステージは、その広さと客席との距離感を掴もうとするかのように、おずおずと始まった。確認するかのように言葉を紡いでいくその速度が、やるせない言葉を丁寧に置いていく。故にストレートに響く歌詞。詩人とんちピクルスの真骨頂。
4曲ほどしっかり歌った後のブレイクとして、今回特別メニューで用意した、能古島限定発売の夏みかんサイダー「ノコリータ」の“勝手にキャンペーンソング”。それを皮切りに、胃袋を刺激する美味しい歌シリーズ数曲で会場を暖める。先に紹介したラップの「ああ結婚」ではマイク片手に歌って踊り、さらなるチャンネルにいつの間にか突入。
一部終盤は、詩・アレンジ共に特別な想いで創りこんだであろう「さすらい」で、映画のワンシーンの様な奥深い世界を垣間見せる。
一部だけでもかなりの間口の広さを堪能。
二部前半はグロッケンのサンプリング音も心地いい、Fairground Attractionのカバー 「PERFECT」を挟みつつ、とんち氏の代表曲が並び、SF的な異次元体験をさせてくれる「鍾乳洞の長い旅」の余韻に浸らせてもらう。その次に彼が持ってきた曲が、「この世の崖」という新曲だったんだが、今回のライブの一番の聴き所はここだったのでは?と思う程の、いつになく熱のこもったパフォーマンス。あくまでも個人的な感想だが、何度か聴いてきた中でも群を抜いて説得力を感じた。続く「君の手」も同じ様に緊張感が漲り、この二曲の熱を感じたお客さんはほかにもいたと思われ・・・
意 外とご本人はあっけらかんと歌ってたのかもしれないが、そこは聴き手の勝手とさせていただこうかと。
再びBUDDYのステージで別のとんちワールドを楽しめる日を既に考え始めている中毒性を感じつつ、「ウクレレ春だより」は終了、次の土地へとウクレレ片手にBUDDYを後にしたとんちピクルス氏でした。
写真・文:青柳省吾
SET LIST
〈一部〉
かっこう夜風
夜風
遠くでひばりもないている
抱きしめたい
ノコリータのうた
土用丑の日うなぎの日
おでんパーティ
ああ結婚
4-ADのうた
さすらい
沈黙
夢の中でないた
〈二部〉
かっこうドライブ
石炭猫
PERFECT(Fairground Attraction)
O.K.TODAY
鍾乳洞の長い旅
この世の崖
君の手
猫鯖革命
記憶(スカンク兄弟&とんちピクルス)
湯の花
(アンコール)
夢の中でないた
どうだいドラえもん |